最初で最後のAI孤児(後編)

オリジナルストーリー
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コンじゃぶろー
コンじゃぶろー

こんにちは!コンじゃぶろーです!

前編いかがでしたでしょうか?

もしまだ、前編を読んでない方は、→こちら

このページに来て頂けたということは、多少興味を持って頂けたということなので、嬉しいです。

ありがとうございます。読んでもらった感想を聞かせていただけると非常に嬉しです。

最初で最後のAI孤児(後編)まえがき

前編で、唯一の生き残りとなった少女は、覚悟を決め長い宇宙の旅に出ました。

宇宙の旅は、とても時間がかかりますが、

全身を凍らせて(コールドスリープ)、永遠にも感じるような永い距離を旅することが可能です。

少女が、永い眠りから目覚め、何をするのか?

みていきましょう。

最初で最後のAI孤児(後編)

表紙

これは、剣と魔法、

ドラゴンが棲む世界創造の物語

1ページ

目覚めた少女は、

コールドスリープ酔いで

ひどく不機嫌だった。

船の様子が随分変わっていたことに

戸惑っていたのだろう。

2ページ

完全に眠りについた星に

少女は、彗星を落とす。

まるで産声を上げるように

星が鼓動し始めた。

3ページ

星全体がドロドロに溶け

地中の成分が吹き出し、

分厚い雲に覆われた。

地表が冷え、

大気が晴れるまで150日かかった。

4ページ

少女は、宇宙船内の微生物を集め、

星に蒔いた。

やがて、命の溢れる美しい星になった

コールドスリープを繰り返していた少女の体は、

その大半が機能不全に陥っていた

5ページ

彼女は、地上の生命に自分の遺伝子を与え始めた。

多くは、知性のない凶暴なモンスターとなったが、

やがて知性の高い猿が生まれる。

ようやく肩の荷がおりた彼女は、

すでに100歳を超えていた。

猿の子を地上に下ろし、

胸の高まりと共に眠りについた

6ページ

コールドスリープから目覚めた時

様々な種が文明を築いていたが、

そこに、猿の姿は見えなかった。

ドラゴンや巨人、猛獣が暴れる世界

そこは、あまりにも過酷な世界だったのだ。

7ページ

親代わりのAIは、

彼女に優しく語りかけた

救うべきものは何?

皆が望むものは何?

8ページ

全ては、私の子供たち

知恵を授ける石板を34枚作り

その33枚を地上へ降ろした

そして彼女は、最後の眠りについた

彼女は、運命の石板を抱きながら

自分の命を繋いでくれた存在を感じていた。

9ページ

長い年月ののち、

地上を広く治めていたのは、

意外にも弱い猿だった

猿の子孫は、

世界を6つの国に分け支配する。

これが、この星のはじまりの全て

運命の石板を手にするのは

いったい誰なのか?

ケレスや他の星々と同じ運命を辿るのか?

私は子供のような瞳でそれを見守っている。

最初で最後のAI孤児(後編)あとがき

生命の共通の目的は、何か?それは、皆で協力して種を残すという所にあると思います。孤独が高まった世の中では、一人一人の生を尊重し、様々な生き方が許容されています。だから、種を残すという使命も、昔ほどは強制されなくなっているでしょう。ただ、どんな人であっても、自分の種の起源というのは必ず存在します。

人間はどこから来て、どこへいくのか?

私は、小さい頃からとても興味がありました。人間というのは、あまりにも弱い生き物である。それなのに、現在地上の支配者として君臨しているのは、人間です。世界中に散らばり、あらゆるものを支配している我々人間ですが、ご先祖様はとても苦労をされていたということが分かっています。

オスとメスに、他の動物ほど個体差はなく、生まれたての子供は、すぐには自立できず、昼夜問わず泣きじゃくります。猛獣が住む世界では非常に危険なことだったでしょう。全人口が1万人くらいまで減少した期間があったようです。(これは、全世界に散らばる人類のDNAにほとんど差が無いことから分かったことです。)動物が食い散らかした腐った肉や腐った果物、骨の髄。貝や魚、海藻等、陸の生物が食べないようなものを食べて、海岸沿いの洞窟で群れて生活していたようです。

やがて、狩猟の道具や農耕技術を磨いて世界に広がっていくわけですが、様々な困難を経て種を存続してきたという事は、各国の歴史を読み解けばわかることです。つい最近も、新型のウィルスや災害によって多くの人が亡くなりました。今、自分の命があるのは、莫大な数のご先祖様が、ギリギリのところで生き残ってくれたからあるわけです。それは本当に奇跡に近いことでしょう。

今回の物語に登場する少女は、開拓に失敗した星で事故があり、たった1人で生まれました。玩具用のクマに搭載されたAIが彼女を育てることになります。人は、9歳までに経験したことで、人格が形成されるそうなので、9歳くらいで救助されることにしました。人格の形成は全てAIが行ったという建て付けです。

ただ、そういう生い立ちの彼女ですから、「孤独を感じないひとりぼっち」と、周りから陰口を叩かれるのですが、特に気にするわけでもなく一人で生きることになります。18歳の頃、宇宙船の中で星が燃えるのを見た時に、それを綺麗だと思ってしまったのは、地上に対して思い入れが全くなかったからでしょう。彼女にとって、他の命の重みは他人事だったのです。

地上からの支援が全くなくなってしまった宇宙船は、徐々に落下を始めます。最初は温厚だった人々も、徐々に死が迫ると自我を失っていくものです。船内では、みにくい争いが起きるようになります。少女は、最後の女性となり、彼女をめぐって男達は争いを始めます。少女はひどく傷ついたことでしょう。そんな時に、親代わりのAIは優しく語りかけるのです。こんなに「みにくい生物」」ならば、滅ぼしてしまった方が良いのでは?と。少女は決断しました。

彼女は、唯一の着陸船に乗り込み、着陸用の逆噴射エンジンを使って星の重力から脱出します。種を滅亡に追いやった咎(とが)を背負うことになります。ただ、他の人に対して興味もなかった彼女には、そこまで重いものだとは受け止めていませんでした。脱出ポッドには、最低限の生活空間があり、食料や水の心配はありませんでした。永い時間宇宙を彷徨う中で、種が残したデータベースだけが楽しみとなります。

そこで、永い時間をかけて、人というものに触れることになります。

中には、自分がどうして捨てられた星で生まれたのか?そういう資料もあったでしょう。彼女は、自分がこれまで生きるのに、どれだけ多くの人が関わってきたのか知ることになります。知識を得ることで、背負った咎(とが)も大きくなり、より孤独を感じるようになりました。

彼女は、その辛さから逃げる為に、コールドスリープに入ります。表向きは、星を救うということでしたが、まだ人生経験の浅い少女には厳しい現実だったので、ただただ逃げたかったのかもしれません。

ここまでが前半のお話です。

前半では、AIに育てられた無機質な彼女が、種を滅ぼすという咎(とが)を背負って心境を変化する様を描いています。また、これは、愚かにも滅んでしまった種を生贄に捧げて、新たな種を生み出すきっかけでもあります。

後半の冒頭では、コールドスリープから起きた彼女が、AIのクマと再会する所から開始します。

彼女が寝ている間に、AIはずっと起きていたわけですから、自分のプログラムを強化し、宇宙船を魔改造していました。

少女は、最初の一手として、星に、氷の彗星をぶつけます。星に水を与えるという意味もありますが、磁力を与えるというのが一番の目的でした。星の核にはドロドロのマグマがあるのですが、それが冷え切って固まってしまうと磁力がなくなってしまいます。磁力があるから大気を留めたり、宇宙からの紫外線から生命を守ってくれたりするので、彗星をぶつけて星に命を与えました。

実際、地球にも大きな彗星が落ちて、随分と環境が変わった歴史があったようです。恐竜がいた頃と、絶滅した後で、重力や気温も大きく変わったと言われています。また、星に住めなくなる原因として「磁力」がなくなるというのはあるようです。マグマが冷え固まって磁力を失うと、大気を留めて置けなくなり、地上には紫外線が降り注ぎます。今の火星にほとんど大気がなく、気温差が激しいのは、磁力を失ってしまったからだと言われています。

オカルト的な話をすると、地球の人類は火星からきた説があったりします。なぜなら、人間の体内時計の周期が25時間で、これが火星の1日の時間とピッタリ重なるからです。火星からきた宇宙人がテラフォーミングしたのが地球ではないか?そういう説を聞いた時にちょっとワクワクしたんです。

もし、火星に文明があって、地球をテラフォーミングするとしたらどんなシチュエーションだったんだろうってイメージしてみました。すると、そこまで準備できていなかったんじゃないか?と思ったんです。当然、優れた文明には優れた武器があるはずで、星を潰してしまうような兵器もあったはずです。そうなると、戦争が始まった瞬間に星が滅んでしまうという可能性もあったでしょう。だとしたら、宇宙ステーション以外の生命が滅んでしまうみたいなことは起きるはずです。

準備を全くしてこなかった宇宙ステーションの科学者が、あり合わせの道具を使って地球をテラフォーミングしたんじゃないか?みたいな切り口で想像を膨らませていきました。オカルトの世界では、月の裏側に宇宙人のミイラがいたみたいな話があって、そういうのもとても参考になりました。

この地球の生物は、ちょっとした微生物やウィルスによって作られたという説があります。そういう情報に触れて、宇宙から生物の進化を促すには、地上に降りる必要なんてないんじゃないかって思いました。

少女は、宇宙船の中にある微生物を地上にまき、生命を誕生させます。そして、誕生した生命に対して自分のDNAを移植し、キメラを誕生させました。通常であれば、とても永い年月がかかり寿命が足りないはずですが、コールドスリープで解決しました。地上に何かを投下して、その結果は数万年後に確認する。そういうことを繰り返せば、一代でテラフォーミングは可能だと思います。

また、自分の細胞を生贄に捧げて生命を生み出す。そういう儀式的な意味合いも含ませています。知性のない生き物が誕生したとしても、どこか少女の遺伝子から受け継いだ面影を感じることができます。

苦労の末に、知性を持った生命を生み出しますが、知性を持った生き物は非常に弱い生き物でした。これは、僕たち人類を模したものにしました。このタイミングで、AIに新しい生命を滅ぼすかどうか質問をさせています。これは、永い時間をかけて、少女の心がどう変化したのか?を表しているシーンです。彼女は、前編と違い、全てを生かす選択をしました。

地上で生きている生物の1つ1つが、自分の遺伝子を受け継いだ子供だからです。

ただ、彼女の体は、何度もコールドスリープを繰り返した為、残された時間はわずかになっていました。彼女は、最後の仕事として、種が残した知識や技術を壊れない石板に刻み地上へ下ろします。全部で34枚用意したのは、人の価値観の数が34だからです。

1枚は、自分が持つことに決めて、残りの33枚を自分の子供達に配ります。

やがて、知性を持った猿が、6つの石板を手に入れ地上を6つに分けて支配し始めることになります。

6つの国は、「信仰心を元に世界を統一する教会」「収集欲を満たしたい貴族」「学習欲に支配された魔法使い」「成長思考の学園都市」「規律や秩序を重んじる商人」「責任感の強い侍の国」それぞれが1枚ずつ不思議な石板の力を借りて国を運営しています。

ただ、それ以外にも石板を手にした27の種族が、虎視眈々と地上の支配を狙っています。ドラゴンやミノタウロス、巨人、アンデットを操るヴァンパイア、半魚人、ゴブリンやエルフ。剣と魔法の世界の住人達が住む世界の名前は「エデン」です。

それぞれが、価値観という名の「石板」の力を使ってドラマを繰り広げる。これから、時間をかけて1つずつストーリーを展開していきますので、どうぞお楽しみに。

to be continue…

前編はこちら

最初で最後のAI孤児(前編)

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