2023/6/6深夜2時に、AppleがARグラスを発表しましたね。
数年前から、「最高のARグラスを作る!」と宣言し、他社から遅れること7年あまり…ついに発表されましたね。今日は、ゲームをはじめエンタメ業界に20年働いていたクリエイターの視点で、ARグラスについて解説したいと思います。
こんにちは!コンじゃぶろーです!
ARグラスとは何か?
その魅力と可能性はどこにあるのでしょうか。
この記事では、ARグラスの基本的な概念から最新の市場動向、さらには未来の展望までを、エンタメ業界に20年いたコンじゃぶろーが詳しく解説します。
AR(拡張現実)グラスは、現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示することで、ユーザーの視覚体験を拡張するウェアラブルデバイスです。その起源は20世紀の初頭にまで遡りますが、近年の技術進歩により、その可能性はますます広がっています。
↓こちらは、2023/6/6に発表されたばかりの新しいARグラス「Apple Vision Pro」です。
こちらのデバイスは、随分前からアナウンスがあって発表されるまでにかなり時間がかかっただけに、個人的には思い入れがあります。各種機能を見てみると、これまでのVR・AR・MRヘッドセットとの違いも見えてきたので、各種比較しながら解説していきたいと思います。
ARグラスは、ゲームやエンターテイメントから教育、ヘルスケア、製造業まで、さまざまな業界で活用されています。その一方で、ディスプレイ技術、トラッキングとセンサー技術、バッテリーとパワーマネジメントなど、ARグラスを支える技術も日々進化しています。
ARグラスの未来はどこにあるのでしょうか。その予測とともに、ARグラスの可能性と限界についても考察します。最終的には、ARグラスがもたらす長所と短所を明らかにし、その全体像を描き出します。
ARグラスの世界へようこそ。その魅力と可能性を一緒に探求しましょう。
ARグラスとは何か?
ARグラスの魅力と可能性を理解するためには、まずその基本的な定義と機能、そしてその歴史と進化について理解することが重要です。
ARグラスの基本的な定義と機能
AR(拡張現実)グラスは、現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示することで、ユーザーの視覚体験を拡張するウェアラブルデバイスです。具体的には、ARグラスは内蔵カメラやセンサーを用いて現実世界を捉え、その上にデジタル画像を重ねて表示します。これにより、ユーザーは現実世界を見ながら同時にデジタル情報を視覚的に捉えることができます。
今回発表された「Apple Vision Pro」は、これまでのARグラスとは違うアプローチで開発されています。どちらかといえばVRなんですよね。これまで、VRの弱点としては、外の景色が見えないというものがありました。これまでに、外部カメラを使ってリアルタイムに外の映像をVRで表示するようなVRデバイスもあったんですけど、解像度が悪かったり、微妙にタイムラグが発生してしまったりしていたんです。この違和感が、没入感を下げていたんですよね。
この問題を、M2チップと、リアルタイム処理に特化した特別なR1チップで解決しています。
ARグラスの歴史とその進化
ARグラスの歴史は20世紀の初頭にまで遡りますが、その当時はまだ原始的な形でしか存在していませんでした。しかし、近年の技術進歩により、ARグラスは飛躍的に進化しました。初期のARグラスは大きくて重く、バッテリーの持ちも短かったですが、現在のARグラスは軽量でスタイリッシュなデザインになり、長時間の使用も可能になっています。また、ディスプレイの解像度やトラッキングの精度も大幅に向上し、よりリアルなAR体験を提供できるようになりました。
ARグラスの主要な技術
ARグラスの魅力はその技術にあります。ここでは、ARグラスを支える主要な技術について詳しく見ていきましょう。
ディスプレイ技術
ARグラスのディスプレイ技術は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせるための重要な要素です。現在、最も一般的なディスプレイ技術は、透明なディスプレイを通じてデジタル画像を投影するプロジェクションベースの方法です。これにより、ユーザーは現実世界を自然に見つつ、同時にデジタル情報を視覚的に捉えることができます。
トラッキングとセンサー技術
ARグラスのもう一つの重要な技術は、トラッキングとセンサー技術です。これにより、ARグラスはユーザーの頭部の動きを追跡し、デジタル情報を現実世界と同期させることができます。また、一部の高度なARグラスでは、アイトラッキング技術を用いてユーザーの視線を追跡し、より直感的なインタラクションを可能にしています。
今回発表された「Apple Vision Pro」は、外部カメラだけではなく、インナーカメラがたくさん実装されているので、目(目線や瞬き等)や手の動きでコントロールすることが可能になっています。他のデバイスでは、コントローラーがないと使い物にならないんですよね。
コントローラーがないと使えないのに、外の景色が見えないから、外のものにぶつかったり落としたり、広いスペースが必要になるので、仕事づかいが難しかったんですよね。
この問題を、M2チップと、リアルタイム処理に特化した特別なR1チップで解決しています。
バッテリーとパワーマネジメント
最後に、ARグラスのバッテリーとパワーマネジメントも重要な要素です。ARグラスは高度な計算とディスプレイを必要とするため、効率的なパワーマネジメントと長持ちするバッテリーが必要となります。現在、多くのARグラスはリチウムイオンバッテリーを使用しており、パワーマネジメントのための専用のチップセットを搭載しています。
現在市場で主流のARグラスとの比較
ARグラスの市場は急速に成長しており、多くの企業が独自の製品を開発しています。ここでは、現在市場で主流のARグラスについて詳しく見ていきましょう。
各製品の特徴と評価
市場には様々なARグラスが存在しますが、その中でも特に注目されているのは、MicrosoftのHoloLens、そしてMagic LeapのMagic Leap2です。
MicrosoftのHoloLensは、高度な3Dホログラフィックスと強力なセンサー技術を組み合わせた先進的なARグラスです。Magic LeapのMagic Leap2は、革新的なディスプレイ技術と直感的なインタラクションを提供しています。
メーカー | モデル | ディスプレイ解像度 | 視野角 | 重量 | バッテリー寿命 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
Magic Leap | Magic Leap 2 | 1440×1760 | 70° | 260g | 3.5 hours | $3,299〜 |
Microsoft | HoloLens 2 | 2k 3:2光エンジン ※1920×1280くらい | 52° | 566g | 2〜3 hours | $3,000〜 |
XREAL | XREAL Air | 1920×1080×2 | 46° | 79g | 5〜10 hours ※接続スマホに依存 | $330 |
Meta | Meta Quest Pro | 1832×1920×2 | 水平106°/垂直96° | 722g | 2〜3 hours | $1140〜 |
Apple | Apple Vision Pro | 4k(片目) ※3840×2160くらい | ??? | ??? | 2 hours | $3,499〜 |
今回発表された「Apple Vision Pro」は、レンズが従来よりも小さくそして、解像度が高いとのことなので、非常に品質の高い映像を楽しむことが可能となります。
ユーザー体験とレビュー
すでに発売ずみのARグラスは、ユーザーから高い評価を受けています。HoloLensはその強力な3Dホログラフィックスにより、リアルなAR体験を提供すると評価されています。Google Glassはその使いやすさと機能性を評価されています。Magic Leap Oneは、その革新的なディスプレイ技術と直感的なインタラクションにより、ユーザーから高い評価を受けています。
サブディスプレイとして違和感なく利用することができるでしょう。(ARやVRでは、長時間使用した際に脳が疲れるという問題があるので、その辺りがどうなのかが非常に気になります。この辺りは販売されてから更新します。)
ARグラスの用途と業界への影響
ARグラスは、その革新的な技術を活用してさまざまな業界に影響を与えています。ここでは、その具体的な用途と業界への影響について詳しく見ていきましょう。
ゲームとエンターテイメント
ARグラスはゲームとエンターテイメント業界に大きな影響を与えています。現実世界にデジタル情報を重ね合わせることで、ユーザーはまるで現実世界がゲームの舞台になったかのような体験を得ることができます。これにより、ゲームはより没入感のある体験に進化しています。
iOS対応のゲームって非常に少ないのが辛いところですね。最高のデバイスができても、ソフトがないと普及には至りづらいですから。
ただ、2023/6/6のAppleのイベント「WWDC」で、デスストランディングをiOSに対応するという話が出ているので、今後、大きく状況が変わるかもしれません。これは期待して待ちましょう。
教育とトレーニング
教育とトレーニングの分野でも、ARグラスは大きな可能性を秘めています。
例えば、生物学の授業で生物の解剖を学ぶ際、ARグラスを使えば実際に生物を解剖することなく、その内部構造を視覚的に理解することができます。また、危険な職業訓練でも、ARグラスを使えば安全にシミュレーションを行うことができます。
こういったデバイスの素晴らしいのは、体験者の視点を、そのまま体験できることはもちろん、スローモーションや早送りも可能なんです。例えば、溶接の研修であった場合、難しいテクニックを部分的にスローモーションしたり停止したりして、詳しく近づいて確認できるということです。
実際の溶接機械で近づいたりしたら怪我する可能性もありますから、バーチャルで体験できるメリットはかなり高いです。
ヘルスケア
ヘルスケア業界でも、ARグラスは革新的な変化をもたらしています。例えば、手術の際にARグラスを使えば、医師は患者の体内を直接見ることなく、詳細な情報を得ることができます。これにより、より正確で安全な手術が可能になります。
最近は、外科手術だけではなくて、精神的な病気にも注目が集まっています。
絶対的安全な状況・空間に患者を置き、映像や音楽によって心のケアができるからです。綺麗な映像よりも、圧倒的に仮想空間とわかる世界の方が、安心感が増すという話があります。
製造業
製造業でも、ARグラスは作業の効率化に大きく貢献しています。ARグラスを使えば、作業者は手を使って情報を確認することなく、必要な情報を直接視界に表示することができます。これにより、作業の効率が大幅に向上します。
MicroSoftのHolo Lensは、そのターゲットが製造業や倉庫業なんです。
価格も高めなのは、個人よりも企業をそのターゲットとしているからですね。今では、アメリカの軍需産業でもかなり使われていて、シェア率が非常に高いそうです。Appleが新しく開発したApple Vision Proは、「Pro」と書かれている通り、企業向けの商品である可能性が高いですね。
ARグラスの未来と予測
ARグラスの技術は日々進化しており、その未来は非常に明るいと言えます。ここでは、その未来と予測について詳しく見ていきましょう。
技術の進歩とその影響
ARグラスの技術はまだまだ進化の途中です。ディスプレイ技術、トラッキングとセンサー技術、バッテリーとパワーマネジメントなど、各領域での技術進歩が期待されています。これらの技術進歩により、ARグラスはよりリアルなAR体験を提供し、より長時間の使用が可能になると予測されています。また、これらの技術進歩は、ARグラスの用途をさらに広げる可能性を秘めています。
Apple Vision Proは、企業向けのデバイスですが、すぐに結果が出ると思います。その結果、たくさんのデバイスが流通に乗って、より技術は進歩するでしょうね。
未来の市場動向
ARグラスの市場は急速に成長しており、その動向は非常に注目されています。現在、ARグラスはゲームやエンターテイメント、教育、ヘルスケア、製造業など、限られた領域でのみ活用されていますが、その活用領域は今後さらに広がると考えられています。また、ARグラスの普及に伴い、新たなビジネスチャンスや市場が生まれる可能性もあります。
エンジニア等は、ディスプレイを3つ4つ買うならApple Visionを買うメリットはあるかもしれませんね。ただ、デザイナーが使っているディスプレイは、非常に性能が高い為、まだ「Apple Vision Pro」の出番は無いかもしれません。
まとめ ARグラスの可能性とその限界
ARグラスは革新的な技術と広範な用途により、私たちの生活に大きな影響を与えています。しかし、その可能性と同時に、いくつかの限界も存在します。ここでは、ARグラスの長所と短所、そして最終的な考察について詳しく見ていきましょう。
ARグラスの長所と短所
ARグラスの最大の長所は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせることで、新たな体験を提供できる点です。これにより、ゲーム、教育、ヘルスケア、製造業など、さまざまな領域での活用が可能となっています。
しかし、ARグラスにはいくつかの短所も存在します。一つは、現在の技術ではまだ完全に現実世界とデジタル情報を融合させることが難しい点です。また、長時間の使用にはバッテリーの問題もあります。さらに、ARグラスの普及には高価格が障壁となっています。
最終的な考察 Apple Vision Proは勝てるのか?
ARグラスは、その革新的な技術と広範な用途により、大きな可能性を秘めています。しかし、その可能性を最大限に引き出すためには、技術の進歩と市場の成熟が必要です。今後の技術進歩と市場動向により、ARグラスの未来は大きく変わる可能性があります。
Apple Vision Proは、一見これまでに発売されたVRデバイスと変わらないように見えます。しかし、このデバイスは、「コントローラーからの解放(手や目のトラッキングで操作)」、「外界の景色がリアルタイムで表示される」この2点で革命が起きるんです。
同じことが昔あったんですよね。それは「iPhone」が登場した時なんです。
「iPhone」が発売されるまでは、多くの見解が「いやいや、こんなのAndroidと一緒じゃん」「Androidがまだまだ売れていないから(全然売れてなかった時期があったんです。)売れるわけないじゃん」みたいなことを言われていたんです。
特に日本は、ガラケー優勢の時代だったので、とてもじゃないけど「iPhone」なんてこないと思われていました。「iPhone」がもたらしたのは、UIの革命だったんですね。今回の「Apple Vision Pro」に同じようなものを感じてしまうんです。
VRで遊ぶ人にとって、コントローラーは非常に煩わしく。そして、外界が見えないことで「恥ずかしい」と思う気持ちは非常に大きいんです。これらがシレッと解決された新しいデバイス期待大です。
以上、ガラケーからiPhoneへの移り変わりを、現場の最前線で見てきたゲームクリエイターの考察でした。
コメント