アイデアは出てくるけれど、アイデアを広げるのが苦手…。
10個くらいアイデアが出たあと、何も出てこなくなる…。
アイデアを広げることに自信がない人は、こちらの記事をどうぞ!
こんにちは!コンじゃぶろーです!
アイデア出しをする際に、ブレンストーミングはとても有効です。しかし、ブレンストーミングには、弱点があります。頭の中の知識が少ないと、アイデアをひろげることができません。慣れていれば次々出てくる物ですが、慣れていない時は自信喪失にもつながる為、学生や新入社員にさせる時は注意が必要です。
私も、最初ブレンストーミングをし始めた時は感動しましたが、すぐにつまってしまったのを覚えています。それでも努力してマインドマップいっぱいにアイデアを出せるようになりました。
ブレンストーミングにはルールがあります。そして、ブレンストーミングのその先に開発されたSCAMPER法を知っておくことで、途中で詰まることなく必要なアイデアを導くことが可能です。そして、本当に大事な次の行動へつながるようになります。
アイデア出しが苦手な人も、アイデアはあるけど行動できない人も、こちらの記事を読んで解決に向かう行動につながることを願います。
SCAMPER法とは?
SCAMPER(スキャンパー)法は、創造的思考と問題解決のための技法の一つです。これは、既存のアイデアや製品、サービスを新しい視点から見直し、改良や革新を行うためのフレームワークとして広く活用されています。
ゲーム企画者として、毎日5本草案を考える必要があったので、手当たり次第にアイデアを増殖する方法を試していました。その時に出会ったのがSCAMPER手法です。
SCAMPERは、7つの異なる質問(Substitute, Combine, Adapt, Modify, Put to another use, Eliminate, Reverse)を使って、新しいアイデアを生成しやすくするためのツールです。
SCAMPERの定義と起源
SCAMPER手法は、1954年に提案されたアレックス・F・オズボーン(Alex Osborn)のブレインストーミング技法を基に、教育者であるボブ・イバール(Bob Eberle)によって1971年に考案されました。ブレインストーミング技法より、具体的で指示的な形でアイデア創出を助ける手法になっています。
1つのアイデアで立ち止まってしまった時にこの手法に出会って非常に助けられた思い出があります。既存のアイデアに対して7つの質問をすることで、アイデアがより新しい視点に変化させることができる為、アイデア量が7倍以上に膨らむ結果になりました。
アイデアに対する「7つの質問」
すでにリリースされたアイデアであったり、ゴミ箱に捨てたアイデアだったり、企画者の目の前には無数のアイデアの残骸が転がっています。宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」のラストで、無数の残骸が地面に転がっているのを見て、僕は泣きました。
おそらく、目に見えない部分で、素晴らしい作品には無数のアイデアの残骸があるんです。自分の足元にも無数の残骸が転がっていると気付いた時、大きな感動を覚えました。
- 代替する(Substitute):他に代用できるものはないですか?
- 組み合わせる(Combine):他の何かと組み合わせて新しいアイデアになりませんか?
- 適応する(Adapt):異なる状況で使うとどうなりますか?
- 変更する(Modify):何か修正する必要のある部分はありませんか?
- 他の用途に使う(Put to another use):新しい使い方や用途はありませんか?
- 排除する(Eliminate):何か省略すす部分や、削除して新しいアイデアになりませんか?
- 逆にする(Reverse):アイデアを逆転してみたらどうでしょうか?
これらの7つの質問を、自分がかつて捨てたアイデア達に投げかけた時、大きく息を吹き返したんです。次の項目で詳しく解説していきましょう。
SCAMPERの7つの質問を詳しく解説
SCAMPER手法は、創造的なアイデアを生み出すためのフレームワークとして、7つの異なる視点からアイデアを検討する方法です。これらの視点は、それぞれの頭文字を取って「SCAMPER」と呼ばれます。それではそれぞれの解釈と、具体的な質問例を紹介します。
代替する(Substitute)
代替するとは、ある要素を別のものに置き換えることです。これにより、新しいアイデアや解決策を見つける手助けをします。
素材を代替する(プラスチックを金属に置き換える)、プロセスを代替する(手作業を自動化する)、役割を代替する(新しい役割を割り当てる)等、これまで人類はさまざまな代替アイデアを出してきました。特に日本は資源に乏しい国だったりするので、様々な代替案を出して国を作ってきたはずなので、日本人の皆様の遺伝子には「代替」に関する適正能力が高いと思います。
質問の例:
- どの部分を別の素材に置き換えられるか?
- 代替可能な要素は何か?
- 別の技術を使うことで改善できるか?
組み合わせる(Combine)
組み合わせるとは、複数の要素を組み合わせて新しいアイデアや製品を生み出すことです。異なる要素を組み合わせることで、予想外の効果や価値を生むことができます。
異なる技術を組み合わせて新製品を開発する、複数の機能を一つの製品に統合する。ゲームの世界ではよく使われる手法として「ジャンル」と「ジャンル」を掛け合わせるというのがあります。「RPG」と「アクション」で「アクションRPG」であったり、「パズル」と「シューティング」で「パズルシューティング」といった具合に、新しいジャンルを創出しゲームを作ってきた歴史があります。
質問の例:
- どの要素を組み合わせると新しい価値が生まれるか?
- 他の製品やサービスと組み合わせるとどうなるか?
- どの機能を統合すると便利になるか?
適応する(Adapt)
適応するとは、既存のアイデアや製品を新しい状況や用途に合わせて変更することです。異なる環境や市場に適応させることで、新たな機会を見つけることができます。シンプルに解説すレバ、利用する環境(地域・時代・国)を変えてみるということです。
他の業界のアイデアを自分の業界に取り入れる、新しい市場に合わせて製品を改良する。ゲームであれば、世界観を「中世ヨーロッパ」から「江戸時代」に変えてみたり、「かわいいモンスター」の世界観を、「恐竜」の世界観に変えるといった感じです。
質問の例:
- このアイデアを他の状況に適応させるとどうなるか?
- どのようにしてこのアイデアを異なる環境に適用できるか?
- 他の分野で成功している手法を取り入れるとどうなるか?
変更する(Modify)
変更するとは、アイデアや製品の特定の部分を変更することです。これには、サイズ、形状、色、その他の特性の変更が含まれます。
デザインを変更する、色を変える、大きさを変える、機能を追加する。ゲームの世界では、ファミコンの時代によく使われていた技法です。ファミコンはデータ容量が少ないですよね、世界一有名なゲーム「スーパーマリオ」では、雲やブロックなど、同じ素材を色変えで使っていたりします。ステージによってブロックの色を変えるのはもちろん、雲の色を変えて木にしたりしています。
質問の例:
- どの部分を変更すると効果があるか?
- サイズや形状を変更するとどうなるか?
- 新しい機能を追加するとどのような影響があるか?
他の用途に使う(Put to another use)
他の用途に使うとは、既存のアイデアや製品を本来の目的とは異なる用途に利用することです。これにより、新しい市場やニーズを発見することができます。
元々は一つの目的のために作られた製品を、全く別の用途で使用する。ゲームで言えば、パラシュートのシミュレーターを作成して、スノーボードのゲームを作った話があります。Nintendo64で発売された「1080°スノーボーディング」という私の大好きなゲームがあるんですが、元々はパラシュートのシミュレーターを作っていたそうです。それを見た宮本茂さんが、スノーボードのゲームが作れるんじゃないか?と考えて作ったと64Dreamという雑誌に掲載されていて感動したのを覚えています。
質問の例:
- この製品を他の用途に使うとどうなるか?
- 新しい使い方を見つけることができるか?
- 異なる市場でこのアイデアを活用できるか?
排除する(Eliminate)
排除するとは、不要な要素を取り除くことです。これにより、プロセスの効率化やコスト削減が可能になります。
不要な機能を取り除く、無駄な手順を省く、コストのかかる要素を削減する。なんでもかんでも詰め込めば面白くなるわけじゃないのがゲーム開発です。取捨選択が必要なんです。私のゲームプランナー経験から言えば、あってもなくても良い要素は、ない方が面白くなります。無駄な要素があると、伝わりづらくなってしまうんです。
質問の例:
- どの部分を排除すると効果があるか?
- 無駄を省くことでどのような利点があるか?
- コストを削減するために何を取り除けるか?
逆にする(Reverse)
逆にするとは、プロセスや順序を逆転させることです。これにより、新しい視点や解決策が見つかることがあります。
手順を逆にする、役割を逆にする、プロセスの流れを反転させる。少し難しいかもしれませんが、これは少しコツがあります。最初、「こんな〇〇は、いやだ」といった逆アイデアを出しまくります。イタズラ心があった場合の方がアイデアが出しやすいんです。そこで出したアイデアをひっくり返すとパンチのあるアイデアになります。
質問の例:
- このプロセスを逆にするとどうなるか?
- 順序を変えることでどのような変化が起きるか?
- 役割を逆にすることで新しい視点を得られるか?
これらの7つの質問を通じて、既存のアイデアや製品を新しい視点から見直し、革新を促すことができます。SCAMPER手法を使うことで、創造的な思考を促進し、効果的な問題解決を実現することが可能です。
SCAMPER法のメリットとデメリット
SCAMPER法は、創造的な発想を促進し、多様な視点から問題を検討するための強力なツールです。しかし、抽象的な質問が多く、時間がかかることや適用の難しさなどのデメリットも存在します。これらの点を踏まえ、適切に活用することで、より効果的なアイデア創出と問題解決を実現することが可能です。
SCAMPER法のメリット
ゲーム開発の現場においてSCAMPER法でのアイデア出しはとても有効です。メリットをチームで共有し、大いに役立てましょう。
創造的な発想を促進
SCAMPER法は既存のアイデアを新しい視点から見直すため、創造的な発想を促進します。これにより、革新的なソリューションや新しいアイデアが生まれやすくなります。毎年新しいゲームが出るのに、ヒット商品ができるのはこういったメリットがあるからでしょう。
簡単に実施可能
特別な道具や複雑な手順が不要で、すぐに実施できるため、個人やグループで手軽に取り組むことができます。ワークショップやブレインストーミングセッションで有効です。
おそらく7つの質問のルールを説明するだけで、小学生でも対応できるでしょう。
多様な視点からの検討
7つの異なる視点(Substitute, Combine, Adapt, Modify, Put to another use, Eliminate, Reverse)を使うことで、多様な角度から問題を検討することができます。これにより、普段見落としがちな解決策を発見する可能性が高まります。
ゲームのアイデア出しをする際は、様々なアプローチが重要です。なぜなら、1つ開発したら数十万とか数百万の目に晒されるからです。こういったサービスも珍しいですよね?
柔軟性の向上
既存のアイデアや製品を改良・適応させるためのフレームワークとして機能するため、変化する市場やニーズに柔軟に対応できる力を養います。
ゲーム業界以外でも、様々な業界でのアイデアだしに適用できる部分も素晴らしいですよね。
チームビルディングに効果的
グループでSCAMPER法を実施することで、メンバー間のコミュニケーションが活発になり、チームビルディングにも寄与します。共同作業を通じて、チームの連携や協力が強化されます。シンプルに、自発的な発想や発言が増えます。これってチームでのゲーム開発に意外と大事なんです。
問題解決力の向上
SCAMPER法を繰り返し使用することで、問題解決のプロセスが体系化され、参加者の問題解決力が向上します。個々がアイデアを出す力をつけた場合、チームの底力が上昇します。なぜなら、仕事の良し悪しは提案力の差によって生まれるからです。
これらのメリットを明確に感じ、チームで認識する。まずは、ここから始めてみましょう。
SCAMPER法のデメリット
メリットばかりではバランスが良くないので、デメリットも紹介します。デメリットのほとんどは、ChatGPTに聞いてしまえば解決することばかりです。なので、デメリットを知ることで、思考停止になっている自分に気づくことができれば、すぐにChatGPTに質問してしまいましょう。
抽象的な質問が多い
SCAMPER法の質問は抽象的であるため、具体的な答えを引き出すのが難しいことがあります。特に、創造性に慣れていない人にとっては、答えを見つけるのが難しい場合があります。最初は出ないものはスキップして、答えやすいものから答えるようにしましょう。
時間がかかる
各質問に対してじっくりと考える必要があるため、時間がかかることがあります。短時間での結果を求める場合には不向きなこともあります。アイデア出しをする際は、「ハマり」に注意しましょう。無意識のうちにハマり込んでしまうと、時間がもったいないです。高速に切り替えていきましょう。
適用の難しさ
一部のプロジェクトや業界においては、SCAMPER法が適用しにくいことがあります。例えば、技術的に高度な分野や厳格な規制がある場合には、柔軟な発想が難しいことがあります。
実践への移行が難しい
アイデアを出すことはできても、実際にそのアイデアを実行に移す段階で課題が生じることがあります。実行可能性の評価や具体的な計画の立案が必要となります。
慣れの弊害
SCAMPER法を繰り返し使うことで、方法自体に慣れてしまい、新鮮な発想が出にくくなることがあります。同じ手法を繰り返すことによるマンネリ化のリスクがあります。SCAMPER法には、明確な課題であったり、既存のアイデアが必要だったりします。
全ての質問が適用できない場合がある
すべての質問がすべての問題に適用できるわけではなく、特定の質問が無意味になることがあります。状況によっては、特定の質問が効果を発揮しない場合があります。ただ、当てはらないなと思うんじゃなくて、正しくないアイデアでも勇気を出して出し続けるようにしましょう。
SCAMPER法の実践方法(ステップ バイ ステップ)
SCAMPER法について解説してきました。ここからは実際に使ってみましょう。SCAMPER法を利用する為の具体的なステップを紹介します。
ステップ 1: 問題または課題の明確化
まず、SCAMPER法を適用する具体的な問題や課題を明確にします。これは、新製品の開発、既存のプロセスの改善、マーケティング戦略の見直しなど、どのようなテーマでも構いません。アイデアの元のなる「アイデア」を集めましょう。
このステップで具体的にすべきことは、SCAMPER法の注意点を理解し「前提条件を揃える」ということと「解決すべき課題を用意する」ということです。
SCAMPER法の注意点(前提条件を揃える)
SCAMPER法の利用には、前提条件の設定がとても大事になります。以下の前提条件を揃えて質の高いアイデア出しをしましょう。ここで記載している注意点は、参加するメンバーへ説明する時間を必ず用意するようにしましょう。
多様な視点の確保
チームメンバーが多様な背景や専門知識を持っていることが望ましいです。多様な視点からのアイデアが出やすくなります。アイデア会議に呼ぶ人をしっかり選定することが大事です。多人数になると効率が悪くなるので、6人までに絞り込みましょう。意見を出さない人は、極力参加させないようにしましょう。
オープンなコミュニケーション
自由に意見を出し合える環境を整えます。批判を恐れずにアイデアを出すことができる雰囲気が重要です。特にアイデア出しの段階で「否定」意見は御法度です。どんなアイデアを出してもOK!そういう雰囲気作りをすることが大切です。
時間と場所の確保
ブレインストーミングやアイデア出しに十分な時間と適切な場所を確保します。中断されない環境が理想的です。これはどんなMTGでも一緒ですが、「集中する」ということが非常に大事です。チーム一丸となってアイデアを出せる環境づくりをしましょう。
解決すべき課題を用意する
SCAMPER法を適用するための具体的な課題を設定します。課題は明確で具体的なものである必要があります。
現状の問題点を洗い出す
現在のプロセスや製品における問題点や改善点を洗い出します。アイデアには「課題」が必要です。ただ、課題がなくてもアイデア出しができてしまうのが難しいポイントです。アイデアに魂を込めるつもりで「課題」を用意しましょう。
目標の設定
どのような結果を求めているのか、具体的な目標を設定します。メンバー全員が、何に対して意見を言い合うのか?アイデアを出し合うのか?について全員で共有しなければ成果は上がりづらくなります。
しっかりと目標を定めて同じ土俵に立たせて、足並みを揃えるようにしましょう。
制約条件の確認
時間、コスト、リソースなどの制約条件を確認します。SCAMPER法において制約条件の取扱いは非常に難しいので、参加者への告知はしないようにしましょう。制約に引っ張られて良いアイデアが出てこなくなるからです。意見を出しやすい場を用意するのも進行役の腕の見せ所なので、必要に応じて共有するようにしましょう。
ステップ 2: SCAMPERの7つの質問に沿ってアイデアを出す
次に、既存のアイデアに対してSCAMPERの7つの質問を考え、その質問に対するアイデアを出します。それぞれの意味が分からなくなってきたら、この記事の詳細な解説を見ながら実施してみましょう。
ステップ1で、既存のアイデアが集まっていない状況であれば、最初に課題に対するブレインストーミングを実施しても良いでしょう。ある程度アイデアが煮詰まってきたら、SCAMPERの7つの質問を当ててアイデアを広げていきましょう。
- Substitute(代替): 何か他のものに置き換えることができるか?
- Combine(結合): 組み合わせることができるか?
- Adapt(適応): 何かを適用または修正できるか?
- Modify(変更): 変更、強化、拡大、縮小できるか?
- Put to another use(転用): 他の用途に使えるか?
- Eliminate(除去): 何かを取り除くことができるか?
- Reverse(逆転): 逆にしたり、順序を変更したりできるか?
ステップ 3: アイデアの記録
各質問に対する回答やアイデアを記録します。この段階では、出されたアイデアを評価せず、数多くのアイデアを出すことに集中します。自分のアイデアを否定せずに、思いついたアイデアを全て書き出していきましょう。
マインドマップツール(オンライサービスが多数あります)を利用してアイデアを記録すれば、紙の広さにとらわれることなく続けることができるし、リアルタイムに保存することが可能なのでおすすめです。Googleドキュメントやスプレッドシートでも構いません。
オンラインツールを使うからと行って、オンラインMTGをする必要はありません。個人的には、顔を合わせて集まって、オンラインツールで記録する形が良いと感じています。
ステップ 4: アイデアの評価と整理
出されたアイデアを評価し、実行可能性や効果の観点から整理します。評価には、チーム全員の意見を取り入れ、客観的な基準に基づいて行います。
出したアイデアを、「インパクト高」「インパクト低」の二つにわけ、さらに「すぐ実行できる」「実行に時間がかかる」の2つに分けてみましょう。優先すべきは、インパクトが高くて、すぐに実行できる対策です。
↓下のような図に書き出して評価すると良いです。
ステップ 5: 行動計画の作成
評価されたアイデアの中から、最も有望なものを選び、具体的な行動計画を作成します。一番優先すべき対策は、すぐにできてインパクトの大きいものですが、この時にステップ1で出していた「制約」を共有し、どの打手から実施すべきか相談してリーダーが判断しましょう。
この計画には、実行に必要なリソース、タイムライン、担当者などを含めます。
ステップ4で評価したアイデアの中から、具体的な実行プランを立ててタスク化します。
ステップ 6: 実行とモニタリング
計画に基づいてアイデアを実行し、その進捗をモニタリングします。必要に応じて調整や修正を行い、目標達成に向けて努力します。アイデアは出しっぱなしではなく、PDCAサイクルを回すことが大切です。やってみてダメだったらすぐに軌道修正していかなくてはいけません。
計画は出しっぱなしではなく、途中経過のハンドリングや計測・評価がとても大事になります。実行した際の実績の記録や、実行後の評価は必ず実施しましょう。それがあなたのチームの宝になります。
SCAMPER法の活用
SCAMPER法は、創造的なアイデアを生み出すための手法として広く活用されています。この手法は、既存のアイデアや製品、プロセスに対して7つの視点から質問を投げかけることで、新しい視点や解決策を見つける助けとなります。以下に、SCAMPER法がどのように活用されるか、具体的な分野別に解説します。
商品開発
新しい商品を開発する場合、市場には競合商品があふれています。その中から選んでもらえるような新しい物を作る為には、様々な方向から議論をする必要があるでしょう。そんな時SCAMPER法はとても有効な手段です。
1. 商品開発におけるSubstitute(代替)
新製品開発の際に、既存の材料や部品を他のものに置き換えることで、新たな機能や特性を持つ製品を開発します。例えば、プラスチック部品を生分解性の材料に置き換えることで、環境に優しい製品を開発できます。
2. 商品開発におけるCombine(結合)
異なる機能や要素を組み合わせて、ユニークな製品を生み出します。たとえば、スマートフォンにカメラや音楽プレーヤーを統合することで、複数のデバイスの機能を1つにまとめた製品を開発します。
3. 商品開発におけるAdapt(適応)
既存の製品を異なる市場や用途に適応させることで、新たなニーズに応える製品を開発します。たとえば、工業用の技術を家庭用の製品に適応させることで、家庭向けの新しい製品を生み出します。
4. 商品開発におけるModify(変更)
製品の形状、色、機能などを変更することで、新たな魅力を持つ製品を開発します。例えば、スマートフォンのデザインを変更することで、若者向けのファッショナブルな製品を開発できます。
5. 商品開発におけるPut to another use(転用)
既存の製品を別の用途に使うことで、新たな市場を開拓します。たとえば、業務用の機械を家庭用に転用することで、新たな顧客層を獲得します。
6. 商品開発におけるEliminate(除去)
製品の不要な部分を取り除くことで、コスト削減や使い勝手の向上を図ります。例えば、不要な機能を削除することで、簡単で使いやすい製品を開発します。
7. 商品開発におけるReverse(逆転)
製品の順序や機能を逆にすることで、新しい視点からの製品を開発します。たとえば、オープン式の製品をクローズド式に変更することで、新たな利用シーンを提供します。
マーケティング戦略
SNSやブログ、広告戦略など、商品を売る為にはマーケティング戦略がとても重要です。今実施しているマーケティング手法でうまくいっていないならば、新しい方法を試さなければいけないからです。
PDCAサイクルを効率的に繰り返すならば、アイデアを生み出す量を爆上げしてみてはどうでしょうか?SCAMPER法を使えば、新しいアイデアを増やすことが可能です。
1. マーケティング戦略におけるSubstitute(代替)
既に実施しているマーケティングキャンペーンの要素を他のものに置き換えることで、新しいアプローチを試みます。例えば、紙のチラシをデジタル広告に置き換えることで、広範なターゲットにリーチできます。
2. マーケティング戦略におけるCombine(結合)
異なるマーケティング手法を組み合わせて、シナジー効果を狙います。例えば、ソーシャルメディアとイベントマーケティングを組み合わせて、オンラインとオフラインでの統合キャンペーンを展開します。
3. マーケティング戦略におけるAdapt(適応)
成功したマーケティング戦略を他の製品や市場に適応させることで、新たな成功を狙います。たとえば、B2B向けの戦略をB2Cに適応させて、新たな顧客層を獲得します。
4. マーケティング戦略におけるModify(変更)
マーケティングメッセージやビジュアルを変更することで、ターゲット層に対する魅力を高めます。例えば、若者向けにポップなデザインを採用することで、ブランドの魅力を高めます。
5. マーケティング戦略におけるPut to another use(転用)
既存のマーケティング資産を別の用途に使うことで、効果を最大化します。たとえば、過去のキャンペーンの素材をリユースして、新たなキャンペーンを展開します。
6. マーケティング戦略におけるEliminate(除去)
効果の低いマーケティングチャネルを取り除くことで、リソースを集中させます。例えば、効果の低いプリント広告をやめて、デジタル広告に集中します。
7. マーケティング戦略におけるReverse(逆転)
マーケティング戦略の順序を逆にすることで、新しいアプローチを試みます。たとえば、従来の流れとは逆に、消費者の声を最初に取り入れてキャンペーンを展開します。
プロセス改善
プロジェクトの問題を解決するにもSCAMPER法は効果的です。これまでに実施した対策や、効果的とされるツールやアイデアを机の上に並べて、全員でアイデアを出し合えば、それぞれの考えを知るきっかけにもなります。
1. プロセス改善におけるSubstitute(代替)
現在のプロセスの一部を他の方法やツールに置き換えることで、効率を向上させます。例えば、手作業を自動化ツールに置き換えることで、時間と労力を削減します。いつも同じツールを使っていると、そのツールの不便さに慣れてしまうケースがあります。それだと、新しく入った人が不便になり人材の流入が鈍くなってしまうでしょう。属人化を防ぎ、常に幅広い人に使いやすい仕組みを整えましょう。
2. プロセス改善におけるCombine(結合)
複数のプロセスやステップを組み合わせることで、シンプルで効率的なプロセスを作ります。たとえば、データ入力とデータ確認のプロセスを一体化することで、時間を短縮します。
普段の業務に取り組んでいる時には見えないアイデアが、SCAMPER法でのアイデア出しで発見されるでしょう。
3. プロセス改善におけるAdapt(適応)
他の業界や分野で成功しているプロセスを取り入れて、自社のプロセスを改善します。例えば、製造業のベストプラクティスをサービス業に適応させることで、品質を向上させます。
環境や条件を変えてみることで、大きな成果を生み出したりします。ここで出たアイデアは、失敗するかも…?くらいの感じでも試してみましょう。
4. プロセス改善におけるModify(変更)
プロセスの一部を変更することで、全体の効率を改善します。例えば、プロセスの順序を変更して、ボトルネックを解消します。普段やっているから…と、同じやり方をするのではなくて違う順番で実施してみると、工数カットに繋がったりします。
この部分に関しては、アイデアを出す過程で、お互いの状況を共有する点に重点をおいてみましょう。
5. プロセス改善におけるPut to another use(転用)
既存のプロセスやツールを別の用途に使うことで、効果を高めます。例えば、データ分析ツールを品質管理にも使用することで、データ駆動型の改善を実現します。
うまくいっている点を、他の仕組みに転用するなど、アクティブに手法を変えて試してみましょう。
6. プロセス改善におけるEliminate(除去)
不要なステップやプロセスを取り除くことで、シンプルで効率的なプロセスを作ります。たとえば、二重のチェックを省略して、自動化されたシステムに依存します。
なんとなくやっている作業というのは、気づかないうちに工数を膨らませる要因になっています。そういうのは、一度「やらない」という判断をしてみましょう。検証してみて問題がなさそうであればスキップするようにしましょう。
7. プロセス改善におけるReverse(逆転)
プロセスの順序を逆にすることで、新しい視点からの改善を試みます。たとえば、最終チェックを最初に持ってくることで、エラーの早期発見を促します。
少し突拍子のない方法に見えますが、コロンブスの卵的な発想は「逆転」から生まれます。まずは一回逆さにしてみてアイデアを出してみることで、とても良い視点を得ることが可能です。
まとめ SCAMPER法で全方位アイデア出し!
いかがでしたでしょうか?
今回は、ゲームプランナーとして実務に使ってきたアイデア出しの手法としてSCAMPER法を紹介しました。これからの時代は、生成AIの時代ですから、アイデアに困ることはないでしょう。ただ、AIに指示をする時に、「SCAMPER法」を知っているだけで聞き方は変わるはずです。
現在あるアイデアをそのままスプレッドシートで共有し、それぞれのアイデアに7つの質問の答えを5つずつ出してくださいとお願いしたら、数秒でかなりの量のアイデアが出るはずです。その時に、それぞれを一通り目を通すだけで、自分の中の知識と化学反応を起こして新しいアイデアが生み出されるでしょう。
これからの企画作業に、ぜひこの記事を役立ててください。
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