ゲーム開発のスケジュール管理がうまくいかない…。
人・物・金、、、何をどう管理したらいいんだろう…。
そういう悩みを抱えている方はWBSを使ってみましょう!
こんにちは!コンじゃぶろーです!
効率の良いスケジュール管理がしたい。そういう願いを持っているリーダーは多いんじゃないでしょうか?プロジェクトの成功に導くには、「なんとなく」運用では難しいです。
私の場合、学生の頃は「お金」の意識が低くて、スケジュール管理が非常に曖昧になり非効率なゲーム開発をしてしまっていました。学生上がりで会社を起こした時、初めて「お金」について意識するようになり苦労したものです。
スケジュール管理は、「WBS」を使いましょう。
WBS(Work Breakdown Structure、ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)は、プロジェクトを管理し成功に導くための強力なツールです。プロジェクトを明確で扱いやすい部分に分割することで、チーム全体が目標に向かって効率的に進めることが可能になります。この記事では、WBSの基本的な概念と具体的な作り方について、初心者でも理解しやすいように解説します。また、WBSを用いた具体的な事例を交えながら、どのようにしてプロジェクトの複雑さを管理し、予算と時間内で成果を出すのかをご紹介します。プロジェクト管理をこれから学ぶ方や、より効果的な方法を探している経験者にも役立つ内容を目指しています。
プロジェクトを効率良く管理するWBSの基本概念
WBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)は、プロジェクトを効率的に管理し、目標達成をサポートするために用いられる計画手法の一つです。
日本語に直訳すると、「仕事(ワーク)」を「分解(ブレイクダウン)」する「構造(ストラクチャー)」です。
この手法では、大きなプロジェクトをより小さく、扱いやすい作業単位(タスク)に分解します。各タスクは、さらに細かい作業に分けられ、プロジェクト全体の視覚的なマップが作成されます。このプロセスにより、プロジェクトチームは必要な作業を具体的に把握し、それぞれの段階で何が必要かを明確にすることができます。
WBSとは?その重要性と基本概念を理解する
WBSをより具体的に解説すると、成果物、工数、担当者、期間(開始日・終了日)が書かれたスケジュール表のことを言います。
↓サンプルのWBSです。
WBSは、文字通り「作業の分解構造」を意味します。これは、プロジェクトの全体像を詳細に分析し、もれなくタスクを洗い出す方法です。主な目的は、大規模または複雑なプロジェクトをより小さな、管理しやすい部分に落とし込むことにあります。WBSをつかえば、プロジェクトの範囲と要件を明確にし、各タスクの責任者や期限を特定するのに役立ちます。
WBSに書かれていない作業はしない。それぐらいの強い意思で運用しましょう。
プロジェクト成功の鍵:WBSの目的と利点
WBSの主要な目的は、プロジェクトの全体的な計画と管理を容易にすることにあります。具体的には以下のような利点があります:
- 明確なタスクの識別:WBSを通じて、プロジェクトを成す基本的なタスクや活動が明確に識別され、各メンバーの責任範囲がクリアになります。
- リソース配分の最適化:小さな作業単位への分割により、リソースの必要量と配分を正確に計画できます。これにより、時間とコストの削減が可能になります。
- リスク管理の向上:プロジェクトのリスク要因を初期段階で特定しやすくなり、対策を講じやすくなります。
- 進捗管理の効率化:各タスクの進捗状況が明確になるため、プロジェクト全体の進捗を簡単に追跡し、必要に応じて調整が行えます。
- コミュニケーションの向上:WBSは、プロジェクトチーム内外のコミュニケーションを促進し、誤解を防ぎ、全員が同じ目標に向かって努力できるように支援します。
WBSは、その構造的なアプローチによって、プロジェクトの成功確率を大幅に向上させることができる強力なツールです。プロジェクトの各段階で何が必要で、どのように進めるべきかを計画的に展開できるため、結果的に効率的かつ効果的なプロジェクト運営が可能となります。
WBSの作成方法
WBSは、プロジェクトの複雑性を理解し、管理可能な部分に分割して作成します。このプロセスを効率的に行うためには、以下のステップに従うことが一般的です。
イメージしづらい人は「カレーの作り方」に置き換えて考えてみてください。「自分の意思とは別に刻々と状況が変化する」という意味では「料理」は非常にイメージしやすいプロジェクトです。慣れないうちは、料理のレシピをWBSで記述してみましょう。
ステップ1: プロジェクトの目標を明確に定義する方法
プロジェクトの成功を確実にするためには、はじめに明確で具体的な目標の定義が必要です。この目標はプロジェクトの全体的な方向性を示し、達成すべき具体的な成果を定義します。目標を定義する際には、SMART(具体的で、測定可能で、達成可能で、関連性があり、時間的に制限されている)基準を用いることが効果的です。
「カレー作り」で考えれば、ズバリ「カレーを作ること」ですね。詳しく言えば、「家族が喜ぶカレー」とか「有名チェーン店のカレー」となります。目標が曖昧だと以降のステップでタスクが出しづらくなります。
ステップ2: 成果物を見極める:主要な成果物の特定方法
プロジェクトの目標を達成するために必要な主要な成果物を特定します。成果物はプロジェクトの結果として顧客に提供される具体的な製品、サービス、または機能です。これらを明確にすることで、プロジェクトのスコープが具体化され、どのような成果が期待されているかが明確になります。
カレーを作る上で、途中にできる成果物としては、「狐色になるまで炒めた玉ねぎ」とか「水につけてアク抜きしたジャガイモ」「サフランライス」等になります。いくつかの部品を作って組み立てるのはITシステムもゲームも料理も一緒なんです。
ステップ3: 作業パッケージに分割する
主要な成果物をさらに小さな単位、いわゆる作業パッケージに分割します。作業パッケージは、個々のチームやメンバーが取り組むべき具体的なタスク群です。この分割により、プロジェクト管理が容易になり、各成果物の達成に向けた詳細な計画が可能となります。また、リソース配分や期間設定がより効率的に行えるようになります。
ITシステムやゲーム開発であれば「α版」「β版」「マスター版」です。責任者がチェックするタイミングと捉えればイメージしやすいでしょう。料理で言えば、「味見」「料理長チェック」「実食」みたいな感じでしょうか。
ステップ4: 作業パッケージをさらにタスクに分解する
最後に、各作業パッケージをさらに具体的なタスクに分解します。これにより、プロジェクトチームは各タスクに必要なリソース、時間、および順序を特定できるようになります。タスクレベルでの管理によって、プロジェクトの監視と制御が容易になり、計画通りに進行するかどうかを日々追跡することが可能です。
このステップバイステップのアプローチにより、WBSはプロジェクトの全体像を明確にし、チームが集中して作業を進めるためのロードマップを提供します。それぞれのステップは、プロジェクトの成功に不可欠な計画の精度を向上させ、期間とコストの節約に貢献します。
やってみてから方向転換する(トライアンドエラー)方法だと、無駄なタスクが増えます。
料理の世界で言えば、調味料や薬味など、入れ忘れば内容に全て小皿に分けて用意するイメージでしょうか。材料を全て場に揃えてタスクの抜け漏れをチェックします。1工程ずつ順番に頭の中でイメージすると抜け漏れが少なくなります。
プロジェクトのWBSでは細かすぎるのも問題ですが、大雑把すぎるのも問題です。1つのタスクは半日から30分の間になるようにするということと、成果物が何か明確にわかるようにしましょう。
WBSの活用事例
WBSは、さまざまな業界とプロジェクトタイプで広く活用されています。その明確な構造と視覚的なアプローチは、プロジェクトの計画と実行を助け、リスクの低減や効率の向上に貢献します。
現在多くのプロジェクト管理は、クラウドで管理されています。バックログ、Asana、Microsoft Project、Redmine 等、プロジェクト管理用のツールは、WBS形式のエクセルファイル(CSVファイル)をインポートできるようになっています。これは非常に便利な機能です。
初期のスケジュールを作成する場合に、エクセル形式の方が作業の組み換えがしやすいというメリットがあります。高速で組み換えて質の高いプロジェクトを作成したら、一気にインポートしましょう。
WBSでの管理に慣れたら、以下のような応用編にチャレンジしてみましょう。ITプロジェクトとゲーム開発プロジェクトでのWBSの活用事例を示します。
事例1: ITプロジェクトでのWBS活用事例とその効果
ITプロジェクトでは、新しいソフトウェアシステムの開発や既存システムのアップグレードなど、多岐にわたるタスクが発生します。WBSを使用することで、これらの複雑なプロジェクトを理解しやすい部分に分割し、管理しやすくなります。
- システム要件定義: 顧客の要望と技術的要件を明確にし、それを基に主要な機能を定義します。
- 設計: システムアーキテクチャ、ユーザーインターフェース、データベース設計など、具体的な設計タスクに分けます。
- 開発: 各機能のプログラミングやモジュールの開発を行うタスクに分割します。
- テスト: 単体テスト、統合テスト、システムテスト、受け入れテストの各フェーズを明確にし、それぞれのテストケースを計画します。
- デプロイメント: 本番環境へのデプロイメントと、ユーザートレーニングの実施。
このように、WBSを使用することで、ITプロジェクトの各フェーズを詳細に計画し、関連するステークホルダーに明確な責任と期待を設定できます。
事例2: ゲーム開発プロジェクトでの適用
ゲーム開発は、その創造的な性質と複雑なインタラクティビティから、特に詳細な計画が求められるプロジェクトです。WBSを用いることで、ゲームの開発プロセスを体系的に管理し、クリエイティブな要素と技術的要素を効果的に統合できます。
- ストーリーラインとコンテンツ開発: ゲームのストーリー、キャラクター、世界観の設定を明確にします。
- アートとデザイン: キャラクターデザイン、環境アート、UIデザインなど、視覚的要素の制作を計画します。
- ゲームプログラミング: ゲームエンジンの構築、キャラクターの動きやゲーム物理のプログラミングなど、技術的実装を行います。
- 音響制作: 効果音やバックグラウンドミュージックの制作、音声の録音と編集を行います。
- テストとデバッグ: ゲーム内のバグを見つけ、ユーザーエクスペリエンスを向上させるためのテストを実施します。
- マーケティングとリリース: プロモーション活動の計画と実施、市場投入の戦略を立てます。
ゲーム開発においてもWBSは、各開発ステージを明確にし、リソースとタイムラインを最適化するのに役立ちます。これにより、開発チームはクリエイティブな作業に集中することができ、プロジェクトの成功率を高めることができます。
WBSでのスケジュール管理で成功に導くコツ
WBSを用いたスケジュール管理はプロジェクトの成功に不可欠です。効果的なスケジュール管理のコツは以下の通りです:
- 明確なマイルストーン設定: WBSを利用して、プロジェクトのキーマイルストーンを明確に定義し、それぞれのタスクに対する具体的な期限を設定します。マイルストーンはプロジェクトの進捗を測る基準となり、チームが目標に向かって進んでいるかを把握する手助けとなります。
- タスク依存関係の識別: 各タスク間の依存関係を正確に把握し、WBS内でこれらを視覚的にマッピングすることで、どの作業が他の作業の開始前に完了する必要があるかが明確になります。これにより、リソースの割り当てとタイミングの最適化が可能となります。
- リソースの割り当て: WBSを使用して、各タスクに必要なリソースを明確にし、それに基づいてリソースを適切に割り当てます。リソースが過剰または不足している場所を特定し、適宜調整を行うことがプロジェクトの効率化を図ります。
成功の秘訣:コミュニケーションの重要性を理解する
プロジェクト管理におけるコミュニケーションの重要性は計り知れません。特にWBSを活用する際、以下の点が重要となります:
- 透明性の確保: WBSはプロジェクトのすべての側面を明確に示すため、これを共有することでチーム内外のステークホルダーとの透明性を保ちます。これにより、誤解を防ぎ、信頼を築くことができます。
- 定期的なアップデート: プロジェクトの進捗に応じてWBSを定期的に更新し、これをチームメンバーと共有することで、全員が最新の情報に基づいて作業できるようにします。
- フィードバックの活用: WBSを通じて得られたフィードバックを積極的に求め、それをプロジェクトの改善に活かします。これにより、プロジェクトの柔軟性が保たれ、より効果的な管理が可能となります。
計画の柔軟性:変化に対応するための調整方法
プロジェクトは予期せぬ変更が必至です。柔軟性を保ちつつ計画を調整するには、以下のアプローチが有効です:
- 変更管理プロセスの確立: 変更が必要になった際に備え、明確な変更管理プロセスを設けます。このプロセスを通じて、変更の影響を評価し、必要な調整を計画的に行うことができます。
- 状況に応じた優先順位の見直し: プロジェクトの状況に応じて、WBS内のタスクの優先順位を柔軟に調整します。これにより、リソースを最も必要とするタスクに集中させることが可能となります。
- リスクマネジメントの強化: WBSを利用してリスクを特定し、それに対する対策をプランに組み込むことで、予期せぬ問題に対処する準備ができます。
WBSを効果的に活用することで、プロジェクトの計画、コミュニケーション、そして柔軟な対応が可能となり、最終的な成功へと導くことができます。
WBSを作成してみると、驚く程多くの注意点に気づく事が出来ます。プロジェクトを稼働する前に、注意すべき点にメスを入れる事ができます。
まとめ WBSの効果的な活用でプロジェクト成功へ
WBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)は、プロジェクトを成功に導くための重要なツールです。プロジェクトの各要素を視覚化し、タスクを明確に定義することで、計画から実行、監視までの全過程を効果的に管理できます。このプロセスにより、リソースの適切な割り当て、リスクの早期発見と対応、スケジュールの正確な管理が可能となり、最終的にはコストと時間の節約に繋がります。
プロジェクト管理の現場では、WBSを活用してチーム全体のコミュニケーションを促進し、各メンバーが責任を持ってタスクに取り組むことが重要です。変更が必要な場合には柔軟に対応することで、計画の実現可能性を高め、プロジェクトの成功率を大きく向上させることができます。
WBSを活用することで、どんなに複雑なプロジェクトも段階的に細分化し、一歩一歩確実に目標に向かって進むことができます。プロジェクトを成功に導くために、WBSの効果的な活用を心がけましょう。
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